今回取り上げられたのは、ダニエルとメロディが学校をさぼって(英語で「さぼること」は“play hookey” または“skip school”と表現するとBrianさんが説明してくれました)海に行ったことが発覚して校長室に呼ばれる場面です。それでは、スクリプトと対訳をみていきましょう。 --------------------------------------------------- Head master(校長 ※アメリカでは“principal”): Come over here. 「こちらに来なさい」 So we've taken it upon ourselves to move the summer holidays forward a trifle, have we? 「つまり、君たちは夏休みを一足先に楽しんだというわけだね」 And where did you decide to go whilst your colleagues went about their daily scholastic duties? 「それで、友達がみんな学校で勉強しているという時に、いったいどこへ行ってたんだ?」 Battersea Fun Fair? 「Battersea遊園地かね?」 That's always a favorite. 「一番行きたがるところだ」 Battersea Fun Fair, was it? 「まず、そうだろう」 Daniel(ダニエル): The seaside, sir. 「海岸です」 Head master(校長): The seaside? 「海岸だって?」 You do realize the enormity of this fundamental breach of school discipline? 「君たちは大切な規則を破ったということを認識しているのかね」 It's not a minor offense, Latimer and Perkins, not a minor offense. 「君たち、軽い罪ではないぞ、いいかね、重大な過ちだ」 If you're gallivanting off somewhere you can't be at school, if you can't be at school we can't teach you, and if we can't teach you you'll end up a bunch of raving imbeciles like the generation above you. 「君たちが勝手気ままに遊びまわって学校に出てこないとしたら、教育というものは成り立たない、愚かな無法者になり下がるんだ」 As you know I don't encourage corporal punishment in this school, but there are occasions when a lesson has to be taught. 「私は体罰には反対だが、教訓が必要な時もある」 However, you're both rather young, one hesitates to use extremely severe measures. 「しかし、きみたちはまだ幼い。きびしく罰するばかりが思慮ある教育者の取る道とは言えないだろうね」 But for your own good try to see the error of these immature pranks. 「何が間違いだったかよく考えるがいい」 Think of your careers, think of life's rich tapestry that lies before you. 「将来のことを考えたまえ。豊かな人生が待っている」 Look, I understand, I was young myself once, a long time ago, of course, but I realized eventually what my priorities were. 「この私だって、かつては君たちと同じだった。遠い昔のことだ。しかし、何をすべきかは、結局のところ分かっていたものだぞ」 Daniel(ダニエル): So do we, sir. 「ぼくたちもです」 Head master(校長): So do you what? 「君たちも、何だって?」 Daniel(ダニエル): Realize what our priorities are, sir. 「何をすべきかわかっています」 Head master(校長): Good for you, Latham. Latimer. 「そりゃ、結構だ。レイサム…、いやラティマーだったな」 I see our little pow-wow has had some effect, eh? Got your priorities right, have you? 「話し合ってよかった。正しい答えが出たようだな」 Daniel(ダニエル): Yes, sir, we want to get married. 「ぼくたち、結婚したいんです」 ---------------------------------------------------
★Words and Phrases ・take it upon oneself to do something:(お願いされたわけでもないのに~する)というニュアンスのイディオムで、肯定的な場合は(責任を持って~する、~することを引き受ける、~を買って出る)、否定的な場合(勝手に~する)を意味します。ここでは、後者の意味で使われています。 Brianさんの説明では、“You started summer holidays earlier than anyone else.”(きみたちは、他の誰よりも先に夏休みを取ったわけだ)、“You have decided on your own to start summer holidays.”(きみたちは、自分勝手に夏休みをスタートさせたわけだ)と言いかえられると説明してくれました。でもどうして校長は主語を“You”ではなく“We”にしているんでしょうか? 誰か教えてください。今度Brianさんにも質問してみたいと思います。 ・a trifle:“slightly”と同義で(少しばかり)。 ・whilst:“while”と同じ意味のイギリス英語 ・go about:(せっせと<仕事などを>する)。ここでは“daily scholastic duties(学校の勉強)”に“go about(励む)”の意味で使われています。 ・Battersea Fun Fair:ロンドンにあった遊園地。ウィキ(英語版)によれば、この映画が公開された翌年(1972年)ローラーコースター脱線による死亡事故がありました。そのために人気が下降し1974年には閉鎖されたようです。 ・enormity:(重大な)の意味で、“severity”“seriousness”と言いかえられるとBrianさんが説明してくれました。 ・breach of school discipline:(学校の規律違反)。breachは“break”と同義で、(規則などを)破る。※(類音:bleach→漂泊する) ・gallivant:(遊び歩く)。play/ have fun/ hang outと同義。 ・end up:becomeと同義ですが、ここではネガティブな意味で(~する羽目になる)として使われています。 ・raving : crazy ・imbecile : idiot(愚かな人、怠け者) ・the generation above you:(きみたちの上の世代)。ここでは、60年代のヒッピームーブメントやドラッグカルチャーの洗礼を受けた世代を指していると推測できます。 ・As you know:(きみたちも知っての通り) ・I don't encourage corporal punishment in this school:(直訳:私は体罰を奨励してはいない) ・prank:(いたずら、悪ふざけ) ・life's rich tapestry:(タペストリーのように織りなされた豊かな人生) ・So do we:<so+(助)動詞+主語>で「<主語:ぼくたち>も<so:また>そうだ」の意味。先に校長が言った“I realized eventually what my priorities were”(何をすべきかは、結局のところ分かっていたものだぞ)に同意を示した表現。慣用的な倒置用法。 ・priorities:(優先事項) ・pow-wow:(何か重要な話をするための会合・会話) 校長は“I see our little pow-wow has had some effect”「話し合ってよかった」と言いますが、実際は「話し合い」というより校長の「スピーチ」です。前回取り上げられた場面と同じように、大人=スピーチする側、子供=だまって聴く側という構図で描かれているところが興味深いですね。しかし、ここでついにダニエルは主張し始めるのでした。 ---------------------------------------------------
★今日の表現: end up(結局~になる、~で終わる、最後は~に落ち着く) end up doing (~することになる、~する羽目になる)
--------------------------------------------------- 自己紹介などで使ってみてはいかがでしょうか? 例えば… I like eating out but I always end up eating too much when the food is good. (外食が好きなんだけど、料理が美味しいと、つい食べ過ぎることになるんですよ) または、あなたが福山雅治の大ファンだとしたら… I always end up thinking about Fukuyama. (結局、いつも福山のことばかり考えてしまうんです)
And when I listen to his music I end up crying. (そして、彼の音楽を聴くといつも泣いてしまうんです) いかがでしょうか?
つづく