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【ラストエンペラー】原題“The Last Emperor”クラス開講日:2015/7/17 ②


第二回目のレッスンでは、ラスト近く、溥儀が釈放に至る場面が取り上げられました。溥儀が戦犯として拘留されていた中国の時代背景(1949年~1959年)についてもBrianさんに解説してもらったので、大変勉強になりました。では、スクリプトと解説を見ていきましょう。

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菜園の手入れをしている溥儀に刑務所長が近づいていく。

PRISON DIRECTOR: Perhaps you think we are here to teach men to lie in a new way? 刑務所長:「新しいウソのつき方を覚えたのかな?」

Why did you sign every accusation made against you? 「なぜ全部の告発書にサインした?」

I didn't stop you from killing yourself to see you like this: 「今みたいな人間になって欲しくて自殺を止めたわけじゃないぞ」

someone who signs anything to please his enemies. To please me. 「私を喜ばせるため、敵を喜ばせるためなら何にでもサインするのか」

You knew about a lot of things in Manchukuo, even the secret agreements. 「君は満州国のことなら密約のことだってよく知っていただろうが…」

But you couldn't possibly have known about the Japanese biological warfare experiments in Harbin. Could you? 「ハルビンで行われた 日本の細菌戦実験のことを知っていたはずがない。そうだろ!?」

So why did you sign these papers? 「なら、なぜ認めるサインをした?」

PU YI: I was responsible for everything. 溥儀:「すべて私の責任なのだ」

PRISON DIRECTOR: You are responsible for what you do. 刑務所長:「自分の行動だけ責任を取れ!」

All your life you thought you were better than everyone else. 「最高の人間だと思っていただろうが…」

Now you think you are the worst of all. 「実は最低の人間なのだ」

PU YI: Why can you not leave me alone? 溥儀:「ほっといてくれないか」

You saved my life to make me a puppet in your own play. 「自殺から救ってくれたのだって、私を操り人形にするためだった」

You saved me because I am useful to you. 「私を利用するためだったんだろ」

PRISON DIRECTOR: Is that so terrible? To be useful? 刑務所長:「そんなにひどい事か? 利用されるのが」

場面は変わって 1959年 刑務所内の広場  囚人たちが集められている。 前方ステージから看守のリーダーと思われる人物が溥儀の名を呼ぶ。

Pu Yi Aisin-Gioro... 「愛新覚羅 溥儀」

溥儀が立ち上がる。ステージに向かって歩き始める。

刑務所長が書類を読み上げる。

PRISON DIRECTOR: By order of the Supreme People's Court, 刑務所長:「最高人民裁判所の命令により…」

the war criminal Pu Yi, male, 53 years old, of the Manchu nationality, and from Peking, 「戦争犯罪人 愛新覚羅 溥儀 男性 53歳 満州族 北京出身 は…」

has now served 10 years' detention. 「10年の拘禁生活を務めた」

As a result of remolding through labor and ideological education during his captivity, 「拘留期間中の労働や思想教育による再形成の結果…」

he has shown that he has genuinely reformed... 「心からの更生が認められた…」

in accordance with Clause 1 of the Special Pardon Order. 「したがって、特別恩赦条例の第1条により…」

He is therefore to be released. 「ここにこの人物を釈放する」

読み上げられた書類を溥儀が受け取る。

PRISON DIRECTOR: You see, I will end up living in prison longer than you. 刑務所長:「結局、私の方が監獄生活は長くなるね」

--------------------------------------------------- ★Words and Phrases

Perhaps you think we are here to teach men to lie in a new way?: 直訳すると「おそらく、いまの世の中に見合ったウソのつき方をここでは教えていると君は思っているんだろうな」というニュアンスでしょうか。字幕では「新しいウソのつき方を覚えたのかな?」となっています。ここでいう“in a new way”は当時の中国社会に影響を与えた毛沢東の“Great Leap Forward”(大躍進政策)について示唆しているとBrianさんが解説してくれました。“men”は男性ではなく、人間“mankindやhuman”を意味します。のちに大躍進政策は数多くの餓死者を出して大失敗に終わるという事実を考えるとこのセリフは興味深いですね。

the Japanese biological warfare experiments in Harbin:満州第七三一部隊(通称731部隊)が行った細菌兵器開発実験のこと。森村誠一のベストセラーノンフィクション『悪魔の飽食』では731部隊が行った人体実験の実態が明らかにされていてコワかったですね。

leave me alone:余計なお世話だ、一人にしてくれ、私を放っておいてくれ

a war criminal:戦争犯罪人、戦犯

detention:拘留、留置、拘禁、学校でのdetentionは(罰として放課後に居残りさせられること)※罰を受ける側の人物はdetainee

As a result of:~の結果

labor:労働

ideological education:思想教育

remolding:作り直すこと

captivity: “detention”の言い替え。基本的なイメージは<ある場所にとらわれて動けない状態>

genuinely:心から、真に、正真正銘、本当に

in accordance with:[規則など]に従って→この表現TOEICでしばしば出題されますのでビジネス英語ファン(?)は要チェックです。

You see, I will end up living in prison longer than you.:刑務所長は溥儀の出所後もここで働き続けるという意味で苦笑しながら言っています。このセリフは、このあと描かれる場面の“foreshadowing”(伏線)でもあるとBrianさんが解説してくれました。

数年後、刑務所長と溥儀は意外な場所で再会します。1967年、溥儀は紅衛兵のデモ行進の中に反革命分子として捕えられ、引き回されている刑務所長を偶然見つけます。つまり、溥儀が民間人になる一方で今度は刑務所長が囚人になってしまうのです。

皮肉にも刑務所長が溥儀に言った“You see, I will end up living in prison longer than you.”「結局、私の方が監獄生活は長くなるね」はのちに彼の運命が暗転してしまう予兆だったことがわかります。

この映画が何度見ても面白いのは、そういった伏線が多くちりばめられているからだと思います。 みなさんはどうご覧になりましたか?

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★今日の表現: Leave me alone.(放っておいてよ/かまわないでくれ)

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溥儀もこのセリフをイラッとした感じで刑務所長に言っていますので、よほどのことか、親しい間柄でないと注意が必要かもしれません。でも、誰かのことを「そっとしておこうよ」というニュアンスで

Let’s leave her/him/them alone for now.(今は彼/彼女/彼らをそっとしておこうよ)

だったら、使えそうですね。

いかがでしょうか?

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