---------------------------------------------- ★今日の表現:Help yourself
(ご自由にどうぞ/お好きにどうぞ) ----------------------------------------------
デニストン中佐が自分のオフィスに入ってきます。 椅子に座っている人物(主人公のアラン・チューリング)に気づきます。
一瞬、中佐は部屋を間違えたかなというような反応をします。
今回クラスで取り上げられた場面はそこから始まります。
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Commander Deniston: What are you doing here? デニストン中佐:ここで、何をしている?
Alan: The lady told me to wait. アラン:女性に待つようにと言われました。
Commander: In my office. She tell you to help yourself to tea while you were here? 中佐:私の部屋でかね?
「部屋の外で待つのがふつうではないか」といいたげな口調で中佐は言います。
さらに、皮肉を込めた冗談を続けます。
“待っている間、紅茶もお好きにどうぞ”って言われたか?
※“Did she tell you …”の“did”を省略して話しているので“tells”ではなく“tell”となっています。
しかし、アランにはその冗談(皮肉)に気が付きません。
Alan: No, she didn’t. アラン:いいえ、言われませんでした。
中佐は「冗談のわからん男だな」といいたげな表情を見せます。
Commander: She obviously didn’t tell you what a joke was then, either, I gather. 中佐:明らかに、冗談とはどういうものかという説明もなかったようだな。
※“I gather”は“I assume”と同意で<察するに、思うに、推測する>の意味
Alan: Was she supposed to? アラン:そうするのが、ふつうなんですか?
アランのセリフを完全な文章にすると“Was she supposed to tell you what a joke was?” 「冗談とは何かを説明することも彼女の仕事のひとつですか?」となります。
中佐はだんだんイライラしてきます。
Commander: Who are you? 中佐:きみは誰だ?
Alan: Alan Turing. アラン:アラン・チューリングです。
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2015年アカデミー賞「最優秀脚色賞」にふさわしく、この映画の人物造形描写は見事ですね。このわずか8行の会話で、重要なキャラクター2人がどんな性格かを伝えてくれます。
行間や空気を全く読むことのできない天才数学者アラン・チューリング。 物語が進行していくにつれ「変わり者」としての存在が自身の命をも脅かしていきます。
皮肉に満ちたデニストン中佐の底意地の悪さも印象に残ります。 俳優チャールズ・ダンスの演技と相まって観る者の気持ちを揺さぶります。 (あー、なんて嫌なヤツなんでしょうか!)
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さて「今日の表現」は、その意地悪なデニストン中佐のセリフから選んでみました。
例えば、外国人の友人を家に招いたときなどに使えそうですね。 大皿に盛ったサラダや料理を食器と共にテーブルに置いて一言。
Help yourself:(ご自由にどうぞ)
ご自分で、好きなだけお取りになってください、という感じで。
対象が何かを明確にしたい場合は、デニストン中佐も言っている通り Help yourselfの後に<to+名詞>を付けてください。
例えば、紅茶なら“Help yourself to tea.” コーヒーなら“Help yourself to coffee.”
おもてなしイングリッシュ“Hospitality English”として、いかがでしょうか?