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【バック・トゥ・ザ・フューチャー】原題:Back To The Future クラス開講日:2016/1/8


2016年最初のクラスで取り上げられたのは、マーティが1955年のHill Valleyにタイムトリップする場面でした。

そこでマーティが目にするのは元の世界(1985年)とのさまざまな違いです。今回は、そんなcultural gap(文化的差異)をネタにした表現をご紹介しましょう。

-------------------------------------------- ★今日の表現:That'll be the day.

(ありえねー) -------------------------------------------

マーティがドクに電話するために“LOU’S CAFÉ”(ルーのカフェ)に入ると、若き日の父親やビフだけでなく1985年には市長になっている給仕ゴールディと遭遇します。

ゴールディがマーティに将来の夢を語ると「君は将来、市長になるよ」とマーティは告げます。そこでカフェの経営者ルーがゴールディに向かって言うセリフが今日の表現です。

A colored mayor, that'll be the day. (黒人の市長だって? ありえないね)

今どきの若者言葉で言えば「ありえねー」でしょうか(この表現も数年後には「死語」になっているかもしれませんが…)。

colored は有色人種を意味し、ここでは黒人を示しています。差別的だと受け取られる可能性がありますので使う時は注意が必要です。African‐American(アフリカ系米国人)という表現の方が好まれます。

ルーのセリフはオバマが大統領に就任している現代から見れば隔世の感がありますね。

今回取り上げられた場面には、この他にもいくつか時代間のcultural gapネタが散りばめられています。

例えば、1980年代に流行したダウンベストを着ているマーティを見てルーが言うセリフ

Hey, kid, what’d you do, jump ship? (どうした? 沈没する船から逃げてきたのか?)

What’s with the life preserver? (なんで救命具を着てるんだ?)

ビフの仲間スキンヘッドもマーティを見て同じようなコメントをします。

Hey, Biff, Get a load of this guy's life preserver, dork thinks he's gonna drown. (おいビフ、見てみろよ。こいつ、救命具をつけてやがる。このマヌケは溺れる気らしいぜ)

※Get a load of:Check outやLook atと同義 ※dork:idiot(馬鹿、マヌケ)

また、注文に関するマーティとルーのやりとりにも食い違いが表現されています。

LOU: Are you gonna order something, kid? (おい、何か注文しないのか?)

MARTY : Yeah, gimme…gimme a Tab. (じゃ、タブを) ※Tabはダイエットソーダドリンクの商品名

LOU : Tab? I can't give you a tab unless you order something. (Tabだと? 何か注文しなきゃレシートは渡せないね)※tab:勘定書(US 口語)

MARTY : Right, gimme a Pepsi Free. (そうか、じゃ、ペプシ・フリー)※Pepsi Free:シュガーレスのペプシ

ルーには「Pepsi free(無料のペプシ)を」としか聞こえません。

LOU : You want a Pepsi, pal, you're gonna pay for it. (ペプシが欲しけりゃ、金を払いな)

結局、「砂糖抜きの飲み物ならなんでもいい」と言うマーティに対して、ルーはブラックコーヒーをテーブルに置きます。このやり取りはダイエットブームだった85年当時の米国世相を表していておもしろいですね。

これらは、字幕や吹き替えでは伝わりにくい事柄のひとつでしょう。

今回の場面では、他にも翻訳しにくい表現として、ビフがジョージ・マクフライ(マーティの父)を馬鹿にして呼ぶ時の“Irish bug”があります。最初にMcが付くのはアイリッシュ系特有の名前であるため、McとFly(ハエ)で「アイリッシュの虫けら」というわけです。

ビフに振り回されてばかりのジョージ・マクフライに黒人の給仕ゴールディは“Stand tall”(男らしく振る舞え)と言います。自分だっていつまでも人に使われる身でいるつもりはない、ひとかどの人物になってみせると決意を表明します。

I'm gonna clean up this town. (市長になって、まずはこの街を浄化するぞ)

ゴールディの言う“clean up”(浄化)をルーは(掃除する)の意味でとらえた上で、モップを差し出します。

Good, you can start by sweeping the floor (結構、ではまず床の掃除から始めてもらおうか)

このような英語のダブルミーニングによるジョークも字幕ではなかなか伝わりにくいかもしれません。

英語で理解したうえでこの場面を見返してみると、クスッと笑えるセリフがいっぱいあって楽しいですよ。

いかがでしょうか?

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